2022/08/15

遺言のすすめ

カテゴリ: 住まい

パナソニック ホームズのニュースレターより、
土地資産を取り巻く税務や法律の最新情報をお届けします。

監修:パナソニック ホームズ

監修:パナソニック ホームズ

2021年7月、熱海において突然の土石流で数名の方が亡くなられました。
あのような形で命を落とすとは、ご本人たちも思いもよらなかったと思います。
それだけに、深くご冥福をお祈りしたいと思います。

人の命は、このような災害のみならず、新型コロナウイルスなどの病気や交通事故などでも突然失われます。
自身の死に対する備えは、やはりしておきたいものだと改めて思いました。

最近では、そうした備えは「終活」としてすっかり定着しました。
「戒名や埋葬法を決めておく」といったことがその内容になりますが、私としては「遺言を書いておく」ことをお勧めしたいと思います。

欧米での遺言は「will」(ウィル)と呼ばれ、これがなければ遺産分けに大変な労力がかかってしまうため、財産のある方は必ずといっていいほど遺します。
しかし、日本では精神的なものを遺すイメージが強くあるのか、はたまた書くのが何か難しそうな印象があるのでしょうか。
毎年亡くなる方のうち7~8%前後しか公正証書遺言を遺しておられません。

私は、もっと遺言が書かれるべきだと思っています。
自戒を込めてとなりますが、専門家の啓発が不足していると感じます。

江戸時代に遡ると、相続がはじまる原因は家督相続制度のもと、2つのイベントがありました。
1つは「死亡」です。これは現代の相続開始の根拠と同じです。
そしてもう1つ、現代では認められていない相続開始のイベントがありました。

「隠居」です。

江戸の一般男性の寿命は今と比較するとかなり短く、かつ老後の健康状態も現代のシニアの方々に比べると断然悪かったようです。
そこで「隠居」し、生前に次の世代へ相続するといったケースが多数ありました。
この場合、父から子へその家の財産の特徴や具体的な管理方法、その際の留意点などを細かく伝授することが可能です。
相続する側も、しっかりと父や他の兄弟姉妹たちと話し合いや意思確認をすることができたでしょう。

しかし、現代では「死亡」でしか相続を開始することができません。
「隠居」のように生きているうちに親から子へと継承できる法定のイベントがないため、親子間で財産について話し合うきっかけが少ないといえます。

そうした点からも、遺言を書くことは子ども達と「イエ」の財産についてコミュニケーションを図る良い機会になるはずです。

ご自身で保有される財産の現状を洗い出し、どこにどんな財産があるかをきちんと把握することもできます。

「遺言を書く」というと、何か面倒なことに感じてしまう方も多いと思います。
ですが、要するに遺言とは ①何を ②誰に ③どう渡すか の3点を決めるということです。

自筆証書か公正証書かという形式論や税金・遺留分対策は、その後に検討する枝の議論です。
まずは「自身の財産の現状を把握する」というところから始められるのがいいでしょう。
「不動産、預金、証券、保険…」
と書き出していくだけでも、遺言完成へ向けた大きな一歩を踏み出されることになるはずです。




 
取材協力:パナソニック ホームズ(株)
パナソニック ホームズ株式会社(旧パナホーム株式会社)は、創業以来、新しい日本の住まいをお届けしてきました。

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その中心となるのは住宅事業と資産活用事業、そしてリフォーム事業。

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